舌小帯短縮症(俗称:つれ舌)は、舌の裏側にある膜状の組織が舌の先から歯茎に伸びているために舌の動きが制限される先天性の異常です。
そのため赤ちゃんの時期に哺乳が上手にできなかったり、発音に支障が出ることがあります。
しかし、子どもが哺乳や発音の問題を抱えていても、相談にのってもらえる医療機関が少ない上、治療する施設は全国でも数少ないのが現状です。
当院は、舌小帯短縮症の手術治療に積極的に取り組んでおります。
舌の裏に膜があり、次のような症状がある方は、どうぞご相談下さい。
新生児期〜学童期まで、各発達段階で以下のような症状がみられることがあります。
当院では、上記の症状に加え、形態的な所見と機能の5項目からなる舌小帯評価スコア(伊藤康雄先生考案)を行い、手術適応かどうかの判断をしています。
吸啜が上手くできずに、体重増加不良や母親の乳頭痛などが生じてしまう。
食塊を左右や後方へ送り込みにくくなり、丸飲みしやすくなることがあります。
※管楽器の演奏ができなかったりアイスクリームを舐めることができないなどもあります。
主として舌の先端を上顎の前歯に接触させる必要があるタ行・ナ行・ラ行に歪みが生じることがあります。
手術は予約制で、日帰り入院で行います。舌小帯に表面麻酔剤を塗って切開します。手術は数分で済みます。
ガーゼで圧迫して止血します。傷口を縫うことはありません。十分に止血してから、授乳していただきます。
再出血や麻酔薬に対するアナフィラキシー(アレルギー反応)などがみられなければ帰宅していただきます。
1歳以上の幼児では全身麻酔をかけないと手術ができない場合があります。当院より、紹介状を準備させていただくことが可能です。
吸啜が上手くできずに、体重増加不良や母親の乳頭痛などが生じてしまう。
術後のケアについて
- 術後は再癒着防止のために、舌のストレッチを4週間(最初の1週間は1日4回、その後の3週間は1日3回)行っていただきます。
- 1週後に再癒着の有無を診察し、癒着があれば指で剥離します。
- 1か月後の診察で創が治癒し、症状の改善がみられれば治療終了となります。
上唇から歯茎に伸びた正中の粘膜の襞(ひだ)が上唇小帯です。小帯が歯茎の頂点に達しているか、これを越えると上唇が歯茎に固定されて持ち上がりにくくなるため、上唇小帯短縮症と呼ばれます。
成長と共に徐々に歯茎から後退していき目立たなくなっていきますが、不十分であると以下のような症状がみられることがあり治療の対象になります。
上唇が持ち上がりにくく、吸啜が上手くできず、母親の乳頭痛などが生じることがあります。
歯に汚れがたまりやすくなり、むし歯のリスクが上がることがあります。
前歯がすきっ歯の状態になり、歯並びに影響が出ることがあります。
手術は予約制で、乳幼児とも日帰り入院で行います。上唇小帯は分厚いので血管収縮剤が入った局所麻酔を注射して切開します。手術は数分で済みます。
出血はありますが、唇の上から指で圧迫して止血します。傷口を縫うことはありません。十分に止血してから、授乳していただきます。
再出血や麻酔薬に対するアナフィラキシー(アレルギー反応)などがみられなければ帰宅していただきます。
術後のケアについて
- 術後は再癒着防止のために、1日4回上唇のストレッチを4週間行っていただきます。
- 1週後に再癒着の有無を診察し、癒着があれば指で剥離します。
- 1か月後の診察で創が治癒していれば治療終了です。